ボストンワールド2016女子の感想

前回のエントリに追記がありますので、読んでくださった方はご確認くださいますようお願いします。

一週間ほど前だったか、3月10日に撮影されたとかいう真央ちゃんの練習風景をスポーツニュースでやっていたのを見ていたところ、ナレーションや本人談とは裏腹にジャンプがとても重そうで、私の中では「ああコンディション悪いんだな」「世界選手権に『出ることに意義がある』といった認識でいざるを得ない状態なのかな」、「最悪世界選手権は最後になるかもという予感すらあるんじゃないか」などと思っていたので、ボストンでの素敵なあなたを見たときも出来不出来がどうこうというより「ちょっと心が落ち着かなかったのかな」などと淡々と受け入れていました。

蝶々夫人美しかったですね。作品としてただただ見ほれてしまいました。ひたすら美しいスケーティングとスピン。あの場で見た人たちにもそれはじゅうぶん伝わったことでしょう。ああいう演技こそ、「回転足りてる足りてないとかジャッジがつける点数なんてどうでもいいや」と見てる側も本心から思えるものなのではないかと。ほんとすごい。実は結構複雑な軌道を描いているのに節回しに合致して頭(上半身)が意味なく上下しないですーっと進んでいく。あまりにもすーっと自然になめらかな動作で進んでいくせいで、ほかの選手だったら本来目立たないような、ジャンプの前に手を振り下ろす型が逆にちょっとした違和感として見えてしまうほど。

たとえば最終グループでいうとラジオノワは明らかにそうですけど、華奢で美人で、曲調がああだから醜さとしてめだたないとはいえ実はメドベデワも、滑るときもジャンプを跳ぶときも1・2・3・4、ブン・ブン・ブン・ブンって音の拍にあわせた縦ノリの動きを元にしているじゃないですか。体が拍に合わせて上下して進んでいるの。あからさまに膝の「上下運動」で前進しているというのでしょうか。その縦の勢いでジャンプも跳ぶ。今はステップの認定基準も「素早い」じゃなくて「明確に」エッジを動かす、とかなんとかいう規定らしいから、縦ノリにしたほうが手っ取り早いし見ている側にもわかりやすいんでしょうね。

ゴールドも細かめのステップになるとついつい体が上下に動くし(今回のフリーは転倒したせいかスピードが落ちてしまったので余計に大変だったのかも)、ポゴリラヤはほかのロシア女子2人ほどは感じなかったとはいえ、そもそもショートもフリーもプログラム自体リンクの縦の長さ全体を使うような内容になっていないから体の上下の動き(つまり力ずく)でストロークを大きくしてリンク全体をカバーする必然性がないのかなあ、などと思いました。

その点は気になったとはいえ、それでもジャンプの難易度と完成度、全体のまとめ方はロシア人選手3人とも見事なもので、出てきた点数は現行のルールと傾向上、当然だと思います。すばらしかったです。

しかしなあ、2種類の3-3が入っていて多くのジャンプを片手あげてがっつり跳んでしまうメドベデワでさえ、女子フリー(キム先輩のバンクーバー五輪のフリーかな)の元世界記録を今回やっと上回ったなんて、双方の要素の難易度から鑑みるにどういうことなんだ、って思いますけど、まあそういうことなんでしょう(やけくそ)

縦ノリという意味では知子ちゃんもそんなにないし、ああやって手をいろいろ動かしている割には上半身がほとんどぶれなくてとってもきれいです。だから今回採点で一番疑問があるとしたら、知子ちゃんのPCSが低めだったこと。フリーだと申請しておく構成で3-3を一つ入れておかないとPCS最初から低めにするなんていう不文律でもあるんですか? それぐらい意味不明ですね。

で、アシュリーはみなさん、もう一度彼女のムーラン・ルージュの演技を見たらいいよ。彼女も滑っているとき上半身が縦にほとんどゆれないから。そういうことあまり指摘されないようなので意外だと思うかもしれません。あのプログラムであの曲調にもかかわらず、安直な縦ノリにならず、シェイリーン・ボーンが理想とする途切れなく流れる動きを実現させてみせた彼女のスケーティングに感心していたので、こちらの点数も当然だと思います。

アシュリーの昨季全米のムーランルージュは私が落ち込んだときに見て励まされるプログラムになりましたが、今回の世界選手権のバージョンもそれに加わりそう。

まあ縦ノリ云々は、私の音楽の趣味からして単純に縦に拍を刻むリズムのノリが好きじゃないせいというのもあるので(だからSEIMEIとか私にはだめなんだと思う)、正しい正しくないという問題でもないです。たとえば、髙橋大輔のスケートを私はうまいなあと思っていた理由の一つが、彼も無意味に縦に一拍ずつ拍を刻む、強調するような解釈、つまり滑り方をしなかったこと。最近のわかりやすい例でいえば、真央ちゃんの素敵なあなたも横揺れのノリですかね。縦に刻むことを意図している箇所以外はむだに縦に上半身が上下しない。もし、意識することなくああいう変化の付け方が自然にできているのならなおさらのこと、浅田真央の音楽に関する感性はすごいと思います。

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